──高齢の親を守るためにできること
「給湯器の無料点検に伺います」
その一言から、私と母の“小さな危機”は始まりました。
先日、母の家にかかってきた一本の電話。
「給湯器の無料点検で、そちらの地域を回っています。ご都合のいい日を教えていただけますか?」
その日はたまたま私(娘)が実家におり、母の代わりに電話を取りました。
「給湯器の点検って聞いてた?」と母に尋ねると、
母はこう言ったのです。
「給湯器の点検、来てくれるの待ってたの」
その言葉を信じ、私は業者の電話をそのまま取り次ぎ、
金曜日の午後2時に来てもらう約束をしてしまいました。
しかし──
約束の日になっても業者は現れず、電話も繋がらず。
嫌な予感がして、警察に相談したところ、
そこで耳にした言葉が忘れられません。
警察がはっきり言ったこと
生活安全課の担当者は、こう断言しました。
「給湯器も屋根も、業者が電話してくることはありません。全部詐欺です。」
「これからは、どんな“点検の電話”にも応じないでください」
頭が真っ白になりました。
私は、良かれと思って対応したつもりが、
結果的には母を危険にさらしていたのです。
なぜ高齢者が電話詐欺のターゲットになるのか
警察によると、高齢者が狙われやすい理由は次のとおり。
- 年齢とともに 判断力が鈍りやすい
- 相手の言葉を 疑うという行動が取りにくい
- 「無料」「点検」「今だけ」に弱い
- 何より “誰かと話したい気持ち” につけ込まれる
自宅に突然かかってきた優しい声の電話は、
高齢者にとって“信用してしまいやすい存在”なのだそうです。
詐欺の手口は毎年巧妙化し、
プロの犯行は、普通の感覚では見抜けません。
電話を「信じてしまった」私の反省
今回詐欺電話を取り次いだのは、母ではなく私。
「母のために」と思って判断したつもりでしたが、
私は相手を一度も疑わず、
電話だけで日程まで伝えてしまいました。
・電話で予定を決めてしまったこと
・相手の会社名すら確認しなかったこと
・“点検の電話=詐欺”という常識を知らなかったこと
そのすべてが、母を危険にさらす原因になり得ました。
警察に教わった「今日からできる対策」
警察から、はっきりとしたアドバイスをいただきました。
【1】業者を名乗る電話には絶対に応じない
「給湯器の点検です」
「屋根の無料診断をしています」
→ すべて詐欺。即切りでOK
【2】家の電話は常に留守電に設定
知らない番号には折り返さない。
【3】親にも“電話には出ない”を何度も伝える
一回では絶対に覚えてくれません。繰り返し伝えることが大切。
【4】突然の来訪にも応じない
インターフォン越しに
「必要ありません」
とだけ言う。
玄関を開ける必要はありません。
【5】しつこく居座る場合は迷わず警察へ
110番ではなく、最寄りの警察署の生活安全課へ。
家族として、これからできること
今回の件があってから、母にはこう言い続けています。
- 「どんな電話にも出ないこと」
- 「見知らぬ人には玄関を絶対に開けないこと」
そして私自身も、
“母のためならまず疑う”**という姿勢を強く持つようになりました。
高齢者を狙った詐欺は、
いまや日常に溶け込む形で仕掛けられています。
「心配性すぎるくらいでちょうどいい」
──今回の出来事で、心からそう思いました。
最後に:この体験が誰かの防波堤になりますように
もしあの日、本当に詐欺業者が来ていたら。
考えるだけでぞっとします。
私たち子世代は「そんな電話、おかしいよ」と気付けても、
親世代にはその常識が伝わっていません。
この記事が、
「うちも気をつけなきゃ」
と誰かの気づきにつながれば嬉しいです。
詐欺は防げます。
でも、気づくのが遅れたら守れなくなることもあります。
親を守れるのは、いつもそばにいる家族です。
そのことを、どうか忘れずに。


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